ふらっと読書録

小説好きのサラリーマンによる読書録。ネタバレ込みで感想を記録します。

「かがみの孤城」あらすじ感想 ~毎日を頑張るあなたへ贈る物語

 

 

 

こんにちは、ふらっとです。

今回は、辻村深月さんの小説「かがみの孤城」を紹介します。

2018年に本屋大賞を受賞し、2022年12月にアニメ映画が公開される人気作品です。

かがみの孤城」あらすじ

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

「鏡の向こうには不思議な世界が広がっていた...」という、「THEファンタジー」ともいえる世界観。

童話をモチーフにした設定も相まって、「これから何が起きるのか?」と期待感が高まります。

7人の子どもたちが鏡の世界で1年間を共に過ごし、お互いに支えあいながら成長していく物語です。

 

こんな人におすすめ!

  1. 王道のファンタジー作品が好きな人
  2. 日々の生活に生きづらさを感じている人
  3. 感動する作品が好きな人

 

面白ポイント

感情移入しやすい設定

主人公の「安西こころ」は、中学校に入学してすぐにいじめに遭い、心を閉ざしてしまった少女です。

こころが鏡の中の世界で出会う6人の子供たちも、両親との関係がうまくいっていなかったり、自分の存在意義に悩んでいたり、心に様々な傷を持っています。

私自身も、新しい環境にうまく馴染めなかった経験が何度かあるため、こころや登場人物の気持ちがよくわかりました。

中学校が舞台ということも相まって、「かがみの孤城」は登場人物への感情移入がしやすい作品だと思います。

 

散りばめられた伏線

かがみの孤城」を読んでいく中で私が感じた謎解きポイントは、

  • こころたち7人は、なぜ鏡の世界に導かれたのか?
  • 現実世界で彼らが会うことはできるのか?

ということでした。

これらの謎に対する答えは、物語を最後まで読むと明らかになるのですが、結末までに散りばめられた伏線が絶妙なんです。

後から振り返ると「こういうことだったのか!」と納得できるような、かつ、謎が解けたときに大きな感動に包まれるような、読者を楽しませる巧みな伏線が随所に散りばめられていました。

 

とにかく読みやすい文章

かがみの孤城」は、文庫本だと上巻・下巻に分かれているほど、ページ数としては多い作品です。

しかし、その長さを感じさせないほど、読みやすい文章、読者が引きこまれやすい構造で書かれています。

物語は一貫して主人公「こころ」の視点で描かれているため、語り手があっちこっちに行かずわかりやすいですし、「様子見の1学期」「気づきの2学期」「おわかれの3学期」という形で物語の展開がわかりやすく章分けされているため、飽きずに読み進めることができました。

普段あまり本を読まない人でも、さらっと読み終えられると思います。

 

多くの人の心に届く、温かいメッセージ

心を閉ざした主人公に寄り添う女性「喜多嶋先生」。

彼女のセリフの中で私が一番好きなのが、「闘わなくても良いよ」という言葉。

辛かったら、逃げていい。無理に戦い続けなくても良い、というメッセージは、学生さんだけでなく、毎日いろんな苦難に耐えながら頑張る社会人の方々にも、温かく感じられるはずです。

 

まとめ

かがみの孤城」は、2018年に本屋大賞を受賞した作品ですし、映画化に伴ってSNSでも話題になっていた作品でしたので、私自身も「やっと読めた!」という感じです。

読んでみると思わず物語に入り込んでしまい、時間を忘れて読みふけってしまうような作品でした。

「1学期」「2学期」で散りばめられてきた伏線が「3学期」で一気に回収されるような気持ちよさもあり、「さすが辻村深月さん、さすが本屋大賞!」と感じずにはいられませんでした(何様)

ここまで「人を選ばず感動できる作品」というのはなかなか存在しないと思うので、ぜひ多くの方に手に取って読んでみてほしいです。

12月に映画化されるにあたり、予告編も公開されています。原作の世界観を大切にしていることがうかがえる映像ですので、YouTube等でぜひご覧ください。