ふらっと読書録

小説好きのサラリーマンによる読書録。ネタバレ込みで感想を記録します。

「早朝始発の殺風景」あらすじ感想 ~あなたの身近にあるミステリー

こんにちは、ふらっとです。

今回は青崎有吾さんの「早朝始発の殺風景」を紹介します。

WOWOWにて連続ドラマ化が決まっている人気作品です。

「早朝始発の殺風景」あらすじ

始発の電車で遭遇したのは普段あまり話さない女子。二人は互いに早起きの理由を探り始め……(表題作)。部活の引退日、男同士で観覧車に乗り込んだ先輩と後輩。後輩には何か目的があるようだが(「夢の国には観覧車がない」)。不器用な高校生たちの関係が小さな謎と会話を通じて少しずつ変わってゆく。ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイムで進行する五つの青春密室劇。

表題作「早朝始発の殺風景」をはじめとして、いずれも高校生が主人公の短編が5作収録されています。

「高校生の日常に潜む謎」をテーマとしており、どの作品も40ページくらいのボリューム感なので、普段あまり本を読まない人にとっても読みやすい作品だと思います。

 

こんな人におすすめ!

  1. 高校生が主人公の青春小説を読みたい人
  2. 謎解きが好きな人
  3. 短時間でさらっと読める小説が好きな人

 

特におすすめの作品

「早朝始発の殺風景」

まずは表題作の「早朝始発の殺風景」。こちらは男子高校生が主人公の作品。

とある理由で、朝5:30の電車に乗り込んだ「加藤木」は、誰も乗っていないはずの始発電車で、あまり話したことのないクラスメイトの女子「殺風景」に遭遇する。

(まず、「殺風景」って名字、珍しすぎ!と思いますがそこは気にせず笑)

「なぜこの同級生はこんな時間の電車に乗っているのか?」

加藤木と殺風景は、お互いにこの謎を解明するべく、気まずい沈黙の中でお互いの秘密を探り始めます。

目的の駅に到着するまでに、2人はお互いの抱える秘密を解き明かすことができるのでしょうか?

殺風景の醸し出すミステリアスな雰囲気が魅力的で、加藤木の気持ちになって殺風景と対面している気分になれます。

最後に明かされる、彼女が始発電車に乗っている理由に驚く人は多いと思います。

「三月四日、午後二時半の密室」

主人公はクラス委員の女子、「草間」。舞台は卒業式の日。

卒業式を終えた草間は、風邪で欠席したクラスメイト「煤木戸(すすきど)さん」の家へ、卒業証書を渡しに訪れます。

大人びていて、一匹狼のような、クラスの中でも浮いた存在であった煤木戸さん。クラス委員で真面目な草間とは、決して親密な関係ではありませんでした。

ちょっとしたきっかけで煤木戸さんの部屋へ上がらせてもらった草間でしたが、家の中に家族はおらず。煤木戸さんと2人きりの空間で、きまずい沈黙が流れます。

きまずいながらもなぜか一緒にプリンを食べたりして2人だけの時間を過ごす中で、草間は煤木戸さんの部屋について、ある違和感に気づきます。

煤木戸さんは何を隠しているのか...?

違和感の正体に気づいた草間は、煤木戸さんと何を話し始めるのか...?

 

高校生ならではの気まずいシチュエーション、しかも卒業式の日。ふとしたきっかけで、2人が心を通わせていく様子がなんとも甘酸っぱく、温かい気持ちになれます。

 

感想まとめ

5作の中で特にお気に入りの2作を紹介しました。他の3作も面白かったです。

日常の出来事ではあるけれども、どの作品にもあっと驚く秘密が隠されているので、謎解きを楽しみながら読んでみてほしいです。

1作品につき40ページくらいで軽く読み流せるので、通勤電車なんかで読むのにはうってつけの小説です。